
円安による物価が高続き、日本銀行が政策金利を0.75%へ引き上げる方針を打ち出すほどに、現在日本経済は揺れています。また、世界各国においても地政学的リスクや国際情勢の不安定さが続いており、先行きの見通しが立てにくい状況が続いています。
このような状況下にあり、「給料を口座に置いておくだけでは、資金は守れないのではないか」と悩む人は少なくないのでは。そして、こうした不安をきっかけに、投資への一歩を踏み出そうと考える人も増えているはずです。
一方で、市場の変動が大きい今だからこそ、感覚や雰囲気に頼った判断はリスクを高めてしまいます。重要になるのは、状況を冷静に整理し、自分なりの基準を持つことです。
その基準として役立つのが、投資の数式です。数字で状況を捉えることで、不安や焦りに振り回されにくくなり、より現実的な資産形成を考えることができるようになります。
本記事では、現在のような経済環境の中でも活用できる、資産形成に役立つ投資の数式を5つ紹介していきます。
資産形成を考えるうえで、まず土台となる計算式が「キャッシュフロー」。どれだけ投資の知識を身につけても、毎月のお金の流れを把握できていなければ、安定した運用は難しくなりますよね。そして、キャッシュフローは「収入 – 支出」というシンプルな数式ではあるものの、この結果がプラスかマイナスかで、取るべき行動ははっきり分かれます。具体的には、プラスであれば投資に回せる余力がある状態、マイナスであれば最初に生活コストの見直しが必要であるということがわかります。
ここを曖昧にしたまま投資を始めてしまうと、想定以上にリスクを取ってしまうことも。たとえば、日本でも口座数が1,300万以上に達していると言われる暗号資産に投資する場合でも、ビットコインウォレットに入金した時点で「余っているお金を使ったつもり」になってしまい、実際には生活費や短期的に必要な資金に手を付けていた、というケースは決して珍しくありません。
こうしたウォレットは、暗号資産の購入や管理、スワップといった機能を一通り備えており、手軽かつスマートに取引ができる点が魅力。だからこそ、日々のキャッシュフローが安定し、本当に余裕資金と言える範囲で活用することが重要になります。
次に押さえておきたい数式が、「ROI(投資収益率)」です。ROIは「得られた利益 ÷ 投資額」で算出でき、その投資がどれだけ効率的だったかを示します。株式投資や事業投資に限らず、たとえば不動産投資といった場面でも使える考え方です。
金額の大小ではなく、割合で比較できるため、「思ったより儲かった」「意外と伸びなかった」といった感覚的な評価から抜け出すことができます。複数の投資先を冷静に比べるうえで、ROIは非常に便利な数式といえるでしょう。
さらに、長期的な視点を持つために役立つのが「72の法則」です。「72 ÷ 年利」によって、資産が2倍になるまでのおおよその年数が分かります。たとえば年利6%であれば、約12年で資産は倍になるということです。なお、この数式は厳密な将来予測というよりも、時間と複利の関係を直感的に理解するためのものです。短期的な値動きに振り回されがちな人ほど、この数式を知ることで、投資に対する時間感覚が少しずつ変わってくるでしょう。
そして、より踏み込んだ投資判断をする際に登場するのが「IRR(内部収益率)」です。IRRとは、「(将来キャッシュフローの現在価値合計)− 初期投資 = 0」となる、その利回りを指します。簡単に言えば、「この投資は年平均でどれくらいのリターンなのか」を1つの数字で把握できる指標だということです。不動産投資や事業投資のように、複数年にわたって収益が発生するケースにおいて、特に重宝されます。
投資の数式は、未来を確実に当てるためのものではありません。ただし、感覚や勢いだけで判断してしまうリスクを減らし、自分の考えを整理するためのツールとしては、間違いなく価値を持ちます。数字を味方につけることで、資産形成は少しずつ、現実的なものになっていくはずです。


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