三平方の定理の逆とは?証明とともに現役高校生がわかりやすく解説!

こんにちは。Daddyです。

今回は、三平方の定理の逆というものを扱っていきます。

『逆』ってなんやねん、という人もいると思いますが、イチから徹底的に教えますので、ぜひ最後まで読んでください。

それでは、Let’s go!

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プロフィール

Frontiesta代表。大阪出身。
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逆とは

まず、がわからない人に解説します。(読み飛ばし可能)

数学において、『』という言葉には明確な定義があります。

命題「p⇒q」に対して、「q⇒p」を、元の命題の逆(ぎゃく、英: converse)と言う。

ある命題とその逆の真偽は、必ずとも一致しない(逆は必ずしも真ならず)。

Wikipedia より

……解説が必要ですね。

まず、『AならばB』という文章があったとき、数学ではAのことを仮定、Bのことを結論と呼びます。

ここまでは、日常生活で使う単語のレベルなので大丈夫でしょう。

次の文章を例に挙げます。(仮定ならば結論という配色です)

仮定と結論
  • 私がニューヨークにいるならば私はアメリカにいることになる
  • この数が9の倍数であるならばその数は3の倍数である
  • 今日が1600年ならばあなたはちょんまげをしている

ここで大事なのは、この仮定と結論の関係は、正しいとは限らないということ。(実際に、3つ目の文章は正しいとは限りません)

出題される時は、この問題が『正しいかどうか』を聞いてくるためです。

とにかく、『AならばB』という文章構造に対して、仮定と結論という名前をつけたというだけなのです。

そして、逆とは仮定と結論を入れ替えたものを言います。

次のような感じ。

  • 私がアメリカにいるならば私はニューヨークにいる
  • この数が3の倍数であるならばその数は9の倍数である
  • あなたがちょんまげをしているならば今日は1600年

逆にした途端、文章が成り立たなくなってしまいました。

これは非常に大事な性質であり、逆は成り立つことも成り立たないこともあるのです。

今のとこ、成り立ってる例がないやん!と思っているかもしれませんが、結論から言うと、三平方の定理の逆は成り立ちます。

次のセクションに行きましょう。

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三平方の定理の逆

いよいよここからが本番。

三平方の定理の逆を考えるには、もとの『三平方の定理』の仮定結論を見抜かなければなりません。

復習はこちらから。

簡単にいえば、『その図形が直角三角形であるならば\(a^2+b^2=c^2\) である』というのが三平方の定理ですね。

なんと、三平方の定理に関しては、その逆である『\(a^2+b^2=c^2\)であるならばその図形は直角三角形である』も正しいというのです。

証明は後にして、問題を解いてみましょう。

例題

次の三角形のうち、直角三角形であるものを選べ。

(1) 辺の長さが5cm, 12cm, 13cmの三角形

(2) 辺の長さが3cm, 4cm, 6cmの三角形

(3) 辺の長さが5m, 8m, 10mの三角形

三平方の定理の逆を使って解けば、この図形が直角三角形であるかどうか判定できます。

使い方はこんな感じ。

解答

いずれも三平方の定理の逆を用いる。答えは(1)

(1)$$5^2+12^2=13^2(=169)$$三平方の定理が成り立っているので、この三角形は直角三角形である


(2)

\begin{eqnarray}
3^2+4^2=25\nonumber\\
6^2=36\nonumber
\end{eqnarray}

したがって、\(3^2+4^2 \lt 6^2\) より三平方の定理は成り立たず、この三角形は直角三角形でない

ちなみに、\(a^2+b^2 \lt c^2\) のような不等号の向きであるとき、この三角形は鈍角三角形である。


(3)

\begin{eqnarray}
5^2+8^2=89\nonumber\\
9^2=81\nonumber
\end{eqnarray}

したがって、\(5^2+8^2 \gt 9^2\) より三平方の定理は成り立たず、この三角形は直角三角形でない

ちなみに、\(a^2+b^2 \gt c^2\) のような不等号の向きであるとき、この三角形は鋭角三角形である。

このように、三平方の定理が成り立つものだけが直角三角形になります。

ちなみに、上の解説では『直角三角形かどうか』だけでなく、『鋭角三角形か』『鈍角三角形か』にも言及しています。

これは、高校数学『余弦定理』から証明されるもので、今覚えるべきものではありませんが、興味があればぜひ調べてください。

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証明

証明は教科書に必ず載っているものですが、文字だらけで非常にわかりづらいです。そこで今回は、噛み砕いた表現で証明します。

論理的なミスはありませんが、表現がやや数学的でないのはご了承ください。

まず、何を証明するのかを確認します。

\(a^2+b^2=c^2\)であるならばその図形は直角三角形である』を証明するのでした。

まずは、仮定に合う図形を用意しましょう。

a^2+b^2=c^2の三角形

これは、直角三角形かどうかはわからないけど \(a^2+b^2=c^2\) は成立する三角形です。

これが直角三角形であると証明できれば、『\(a^2+b^2=c^2\)であるならばその図形は直角三角形である』を証明したことになります。

次に、上の三角形の2辺 \(a, b\) は同じ長さで、その間の角が直角であるような三角形を用意します。

斜辺の長さは今のところ \(c\) ではないので、とりあえず \(x\) としましょう。

直角三角形

この三角形は直角三角形なので、三平方の定理が使えますから、\(a^2+b^2=x^2\) となります。(ココ大事)

ここで思い出しましょう。

1つ目では、直角三角形かどうかはわからないけど \(a^2+b^2=c^2\) は成立する三角形を用意しました。

\begin{eqnarray}
\left\{
\begin{array}{l}
a^2+b^2=c^2 \\
a^2+b^2=x^2
\end{array}
\right.\notag
\end{eqnarray}

これを連立させると、\(c^2=x^2\) となっていることに気づきますね。

\(c, x\) ともにマイナスになることはありませんから、\(c=x\) が成り立ちます。

ここで、2つの三角形は、3辺の長さがすべて等しいから、合同であるといえます。

合同な三角形の対応する角は等しいから、1つ目の三角形も、\(a, b\) に挟まれた部分は直角になります。

よって、直角三角形かどうかはわからないけど \(a^2+b^2=c^2\) は成立する三角形は、結局直角三角形でした。

証明終了!

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まとめ

いかがだったでしょうか?

三平方の定理の逆は、決して当たり前のように成立するものではなく、合同を用いてしっかり証明しなくてはならない内容です。

この性質は非常に重要であり、将来、高校数学で『必要十分条件』『余弦定理』などを勉強するときにそのまま生かされます。

しっかり復習して、身につけていきましょう。

それではっ!

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