平方完成とは?裏ワザとともに原理をわかりやすく高校生が解説!

こんにちは。Daddyです。

今回は『平方完成』という、いわば数学のテクニックのようなものを伝授します。

やること自体は『平方完成』という名前の通りなのですが、なんせ難しそうな名前をしていて、とっつきにくいですよね。

ただ、2次方程式の解の公式を導出するためには、必ず押さえておかなくてはならない内容です。

理解を深めるためにも、ぜひ手を動かしながらこの記事を読むという約束を守ってください。

頑張りましょう!

この記事は、最終的には『平方完成』の原理まで理解してもらうことを目標にしていますが、実際には平方完成が使える平方完成の原理を理解するという順番が普通です。

一回で理解できなくても、手を動かしているうちに理解できるようになることは数学ではよくあることなので、まずは使えるようになることを目標に頑張りましょう。

スポンサーリンク
プロフィール

Frontiesta代表。大阪出身。
塾が苦手で、鉄緑会を辞めて新たな教育プラットフォームを立ち上げた。
パソコン使用歴は2年くらい。
あだ名は"パパ"や"ダディー"で、生粋のいじられキャラ。

Daddyをフォローする

平方完成とは

平方完成とは、2次式をムリヤリ2乗のカタチに変形することです。

問題を見てみた方が理解が早いので、さっそく次の例題を見てみましょう。

例題1

\(x^2+4x+10\)を平方完成せよ。

解答

\begin{eqnarray}
x^2+4x+10 &=& (x^2+4x+4)+6\nonumber \\
&=& (x+2)^2+6\nonumber
\end{eqnarray}

よって、\((x+2)^2+6\)

何をしたかというと、\(x^2+4x+10\)という、いわゆる普通の2次式を変形したというだけです。

その答えが、\((xの1次式)^2+(余った数)\)といったカタチになっていることが理解できればOK。

本来、\(x^2+6x+9\)のような式であれば、\((x+3)^2\)のように因数分解するだけで2乗の式にできます。(この変形も平方完成と言わなくはないですが、ただの因数分解の問題なので、普通出題されません)

それができない式でも、\((余った数)\)を出してしまえばムリヤリ2乗のカタチを作ることができるということですね。

スポンサーリンク

平方完成のやり方

平方完成のやり方は、キホンにのっとって計算するだけです。

裏ワザは次のセクションで扱いますが、まずは次の方法で計算してみましょう。

例題2

\(x^2-6x-3\)を平方完成せよ。

平方完成の最終的な目標を振り返ってみましょうか。

2次式をムリヤリ2乗のカタチに変形することですね。

ということは、\(x^2-6x\)という、\(x\)が入った部分を2乗のカタチに直せれば勝利です。

解説

展開すると、\(x^2-6x\)が登場する2乗の式について考える。

ここで、\((x-3)^2=\) \(x^2-6x\) \(+9\) より、平方完成でこの式を使うことができそうである。

\begin{eqnarray}
x^2-6x-3&=&x^2-6x+9-12 \nonumber\\
&=&(x-3)^2-12\nonumber
\end{eqnarray}

よって、\((x-3)^2-12\)

この式では、\(-3=+9-12\)と変形する高等テクニックを使っているように見えますが、実際にはそんなことありません。

あくまで、\(x^2-6x+9\) という式のカタチを作り出して、ムリヤリ2乗のカタチに変形しようとしただけです。

何度でも言いますが、平方完成とは、2次式をムリヤリ2乗のカタチに変形することです。

スポンサーリンク

平方完成の裏ワザ

とはいえ、毎回毎回『どの2乗の式を使うのかな』という風に考えるの、正直だるいですよね。

しかも、次の例題のような問題ではどうでしょう? 解ける自信がありますか?

例題3

\(3x^2+\dfrac{6}{5}x-1\)を平方完成せよ。

\(x^2\)に係数がついたり、分数が混じっていたりすると、頭がこんがらがってしまいます。

平方完成のやり方は決まった手順で暗記してしまえ』ということで、次の手順で計算すると良いです。

解答

まず、\(x^2\)の係数である \(3\) で定数項以外をくくる。

$$3x^2+\dfrac{6}{5}x-1=3\left(x^2+\dfrac{2}{5}x\right)-1$$

ここで、平方完成した後のカタチを作る。
平方完成すると、\(\bigcirc(x+\Box)^2+\bigtriangleup\)

\(\bigcirc\)は、はじめにくくった \(x^2\) の係数 \(3\) になることが知られている。
\(\Box\)は、くくったあとの \(x\) の係数 \(\dfrac{2}{5}\) を半分にした \(\dfrac{1}{5}\) になることが知られている。

よって、平方完成すると$$3\left(x+\dfrac{1}{5}\right)^2+\bigtriangleup$$

\(\bigtriangleup=(元の式の定数項)-\bigcirc\times\Box^2\)となることが知られているから、

$$\bigtriangleup=-1-3\times\left(\dfrac{1}{5}\right)^2=-\dfrac{28}{25}$$

したがって、\(3\left(x+\dfrac{1}{5}\right)^2-\dfrac{28}{25}\)

一見複雑そうに見えますが、次の手順を踏んでいるだけですね。

  • \(x^2\) の係数でくくる
  • \(x\) の係数を半分にして、途中まで平方完成する
  • もとの定数項から、\((くくった数)\times(半分にした数)^2\)をひき算する

なぜ成り立つのかという理由は、次の証明の通りですが、やや複雑です。

まずは計算方法を覚えましょう。

便宜上、\(ax^2+bx+c\)を平方完成することにする。ただし、\(a\neq0\)

\begin{eqnarray}
&\quad&ax^2+bx+c \nonumber \\
&=&a\left(x^2+\dfrac{b}{a}x\right)+c \nonumber \\
&=&a\left(x^2+2\times\dfrac{b}{2a}\times x\right)+c \nonumber \\
&=&a \left\{ x^2+2\times\dfrac{b}{2a}\times x + \left(\dfrac{b}{2a} \right)^2 – \left(\dfrac{b}{2a} \right)^2 \right\} +c \nonumber \\
&=&a \left\{ \left(x+\dfrac{b}{2a} \right)^2 – \left(\dfrac{b}{2a} \right)^2 \right\} +c \nonumber \\
&=&a\left(x+\dfrac{b}{2a} \right)^2 – a\left(\dfrac{b}{2a} \right)^2 +c \nonumber \\
&=&a\left(x+\dfrac{b}{2a} \right)^2 +c- a\left(\dfrac{b}{2a} \right)^2 \nonumber \\
\end{eqnarray}

これで平方完成できている。

スポンサーリンク

発展:解の公式の導出

2次方程式の解の公式は、覚えるのが難しいことで知られていますが、最悪覚えていなくても平方完成すればなんとでもなります。

下の記事が解の公式の導出になりますので、ぜひ読んでください。

今回勉強した平方完成がそのまま扱われています。

スポンサーリンク

まとめ

それでは最後に平方完成しまくっていきましょう!

例題4

次の式を平方完成しなさい。

(1) \(x^2+8x+2\)

(2) \(2x^2+12x+36\)

(3) \(x^2+9x+13\)

(4) \(-3x^2-3x-3\)

解答

(1)
\begin{eqnarray}
&\quad&x^2+8x+2 \nonumber \\
&=&x^2+8x+16-14 \nonumber \\
&=&(x+4)^2-14 \nonumber
\end{eqnarray}

よって、\((x+4)^2-14\)


(2)
\begin{eqnarray}
&\quad&2x^2+12x+36 \nonumber \\
&=&2(x^2+6x)+36 \nonumber \\
&=&2(x+3)^2+36-2\times3^2 \nonumber \\
&=&2(x+3)^2+18 \nonumber
\end{eqnarray}

よって、\(2(x+3)^2+18\)


(3)
\begin{eqnarray}
&\quad&x^2+9x+13 \nonumber \\
&=&\left(x+\dfrac{9}{2}\right)^2+13-\left(\dfrac{9}{2}\right)^2 \nonumber \\
&=&\left(x+\dfrac{9}{2}\right)^2-\dfrac{29}{4} \nonumber
\end{eqnarray}

よって、\(\left(x+\dfrac{9}{2}\right)^2-\dfrac{29}{4}\)


(4)
\begin{eqnarray}
&\quad&-3x^2-3x-3 \nonumber \\
&=&-3(x^2+x)-3 \nonumber \\
&=&-3\left(x+\dfrac{1}{2}\right)^2-3-(-3)\times\left(\dfrac{1}{2}\right)^2 \nonumber \\
&=&-3\left(x+\dfrac{1}{2}\right)^2-\dfrac{9}{4} \nonumber
\end{eqnarray}

よって、\(-3\left(x+\dfrac{1}{2}\right)^2-\dfrac{9}{4}\)

機械的な計算に感じられる問題も多く、タイヘンだったとは思いますが、計算力含め様々な力が身についたと思います。

平方完成は、特に高校数学で頻出のテクニックです。

整数問題や関数の最小値・最大値の問題などに興味を持ったら、少し背伸びしてみるのもいいかも。

それではっ!


最後に、Frontiesta公式LINEで質問を受けつけています。

長期休業期間や学校行事の期間は返信が遅れてしまうかもしれませんが、気軽に連絡してみてください。

コメント

タイトルとURLをコピーしました