こんにちは。
現役高校生のDaddyです。
今回は、数学的帰納法というものについて扱います。
はじめに言っておきます。
数学的帰納法は、はじめて学ぶ人にとっては難しいです。
論理的すぎて難しいです。
この記事では、数学的帰納法を学ぶハードルをぐんと下げ、誰でも理解できるように解説します。
数学的帰納法とは?という説明から、実践的な問題演習まで、全てご用意いたしました。
それでは早速、Let’s go!
数学的帰納法の『イメージ』
数学的帰納法は、カッコいい
数学的帰納法は、6つの漢字からなるカッコいい言葉です。
見た目だけではなく、数学的帰納法はとってもカッコいい解き方です。
この記事を読み終わる頃には、次のような記述ができるようになっているのが目標。
『こんなことができるようなるんだー』と、イメージを膨らませてください。
な、なんともまあ難しいこと…
でも、なんか数学っぽくてそそられるやろ?
とはいえ、これを読んでも何も理解できないと思います。
これから、数学的帰納法のイメージを、簡単なシチュエーションに置き換えて理解してみましょう。
一郎さん、二郎さん、三郎さん、…
突然ですが、こんな問題を解いてみましょう。
ちょっとした論理パズルのような問題です。
はじめに言っておきますが、必ずしもこれが正解!みたいな答えがあるわけではなく、あくまで数学的帰納法を理解するためだけの例だと思ってください。
うーん、N人兄弟ってのがどのくらい多いんだろうか?
めっちゃ多いかもしれんし、めっちゃ少ないかもしれん。人数に関係なく証明できるやろか?
1000人兄弟とかでも証明できるようにしたいってことだね。
いろんな答えが出てくると思います。
正解もたくさんあることでしょう。
ただ、数学的帰納法っぽい考え方をするなら、次のようになるでしょう。
簡単に説明しますね。
一郎さんが『正直者で、嘘をついたことはない』とします。
書くのがめんどくさいので、これからは『一郎=正直者』としますね。
すると、一郎さんの発言の次の発言↓
二郎は正直もので、嘘をついたことはないよ。
は真実になります。
つまり、『二郎=正直者』ということですね。
すると、二郎さんの発言の次の発言↓
三郎は正直もので、嘘をついたことはないよ。
は真実になります。
つまり、『三郎=正直者』ということですね。
これを繰り返せば、自動的に『全ての人=正直者』となります。
1つのことがわかるだけで、全部が証明できちゃったね。
これが数学的帰納法の考え方や!
数学的帰納法の説明には、『芋づる式に〜』とか『ドミノ倒し式に〜』とか、いろんな比喩がなされますが、ぶっちゃけ私にはどれもわかりませんでした。
お手元に教科書があったらぜひ読んでみてください。
間違ったことは一つも書かれていませんが、とにかく堅苦しい。
数学的帰納法は、『N郎さん問題』(勝手にDaddyが作った)のことだと思っておいてください。
数学的帰納法を学ぶ
テンプレートを知ろう
いよいよ、数学のお時間です。
数学的帰納法を、数式で理解してみましょう。
例題を紹介します。
急に難しくなったな…
ここから本気モード。紙と鉛筆を用意して読んでな。
この問題の背景は、『\(N\)番目までの奇数を全て足すと、\(N^2\)になる』というものです。
ここからは、『N郎さん問題』と対応させながら見ていきます。
一言一句逃さないように、読むペースをぐっと落として、丁寧に読みましょう。
まずは、証明することを確認します。
『N郎さん問題』で証明したのは、全員が『正直もので、嘘をついたことはない』ことですね。
例題で証明するのは、\(1+3+ \cdots +(2n-1) = n^2\) の成立です。
次に、証明に必要な条件を確認します。
あまり意識していなかったかもしれませんが、『N郎さん問題』では証明のために2つの重要な条件を設定しています。
- 一郎さんは正直者
- 全員が『1つ下の弟は正直者』と言っている
(N郎さんを除く)
この条件が、数学的帰納法には欠かせません。
1.は、いわゆるドミノ倒しのスタートの役割を果たします。
2.は、
一郎が正直者→二郎は正直者
二郎が正直者→三郎は正直者
三郎が正直者→四郎は正直者
…
という自分と次の人の関係性を表しています。
これを文字で表すと、(難しいけどガマン!)
k郎が正直者→k+1郎は正直者
となります。もっとシンプルに言い換えると、
kのときに成立→k+1のときに成立
あえてNという文字を使わなかったのは、『N人兄弟』という表現でNを使ってしまっているからです。
1.と2.がどちらも正しいと、証明すること(全員が正直者であること)が正しいといえるのです。
これがわからんかったら、もう一回戻って読み直してな。
これを例題に当てはめましょう。
まずは1.から。
\(1+3+ \cdots +(2n-1) = n^2\) が \(n=1\) で成り立つことを確かめる必要があります。
これが、ドミノ倒しのスタートになっています。
次に2.です。
これが厄介ですが、先ほどのkという文字を使って表現します。
kのときに成立→k+1のときに成立
つまり、
\begin{eqnarray}
&\quad&1+3+ \cdots +(2k-1) = k^2\nonumber\\
&\iff&1+3+ \cdots +(2n-1) + \{2(k+1)-1\}= (k+1)^2\nonumber\\
\end{eqnarray}
↑スクロール可能
ということ。
この2つの条件が証明できたら、
1のときに成立→2のときに成立
2のときに成立→3のときに成立
3のときに成立→4のときに成立
…
というように、晴れて自動的に証明できるのです。
はじめに断った通り、概念チックでかなりむずかったと思うわ。
これらを踏まえて、数学的帰納法のテンプレートを作成しましょう。
実践!証明しよう
それでは、文章で証明していきましょう。
以下の文章は、これまでに説明したことを簡潔にまとめた模範解答です。
試験本番では、これくらいの丁寧さで書くんだ〜ということを身につけてください。
テンプレートが決まっているので、一度は書き写すことをお勧めします。
これは、一番初めにお見せした数学的帰納法のイメージのものと完全に同じものです。
やっと自力で書けるようになったね!
それでは、記述答案作成のテクニックを伝授しますね。
1つ目に、使う数式に番号をふるということ。
途中式を除いて、全ての数式に番号をふる習慣を身につけましょう。
2つ目に、2つの条件は(a)(b)と分けて書くということ。
(i)(ii)のように表す人もいますが、いずれにしても分けて書くのが常識です。
3つ目に、\(n=k\)で成立すると仮定して作った数式は、必ず使うということ。
これがちょっと難しいですね。
『n=kで成立するなら、n=k+1でも成立する』という関係が成立することが(b)の目標ですが、これが重要。
『n=kで成立するなら、n=k+1でも成立する』をそのまま数式で表現しなくてはならないのです。
つまり、\(1+3+ \cdots +\{2(k+1)-1\} = (k+1)^2\) を証明するためには、\(1+3+ \cdots +(2k-1) = k^2\) をどこかに代入しなくてはならないのです。
やっぱり難しいな…
この意味は、何問も問題を解いていく中で理解するはずや。深追いし過ぎるのも禁物やで。
超重要な前提
山場を乗り越えました。
少しリラックスして…ふう。
ここで一つ、大変重要なことをお伝えします。
数学的帰納法の証明は、整数がかかわる問題に使える、ということです。
特に、自然数との相性は抜群です。
これは、数学的帰納法の特性によるものです。
『N郎さん問題』では、一郎さん、二郎さん、三郎さんは出てきても、3.14郎さんのような中途半端な人は出てきませんでしたよね?
k郎さんとk+1郎さんの関係を考えてきたように、数学的帰納法は、1ずつ増えるものに対して使える証明方法なわけ。
『全てのnに対して成立することを証明せよ』みたいな問題には、数学的帰納法は使えないということを頭の片隅に置いておいてください。
まとめ
いかがだったでしょうか?
最後に、数学的帰納法をまとめておきます。
数学的帰納法は、完全に理解できるまでかなりの時間を要する単元です。
まだ理解できなかったとしても、焦る必要はありません。
とんでもなく長ーいこの記事を読み切ったあなたは、すでに他の誰よりもリードしています。
あとは問題演習をしっかりと積めば、必ず自分のものになります。
数学的帰納法は、計算をゴリ押すだけでいつの間にか証明できてた!みたいなこともあるくらい、大変強力な武器です。
じっくり考えて、自分のものにしてくださいね。
それではっ!
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