現役高校生のDaddyです。
座標の単元で一度は悩まされる考え方『束(そく)』。
コイツは一体なんぞや?というギモンに回答します。
この記事を読めば、直線束や円束に対する理解が深まり、悩むことなく自分の力で式を立てられるようになります。
スマホでこの記事を閲覧している場合、数式が枠内に入りきっていないことがあります。スクロールをお試しください。
『束(そく)』とは
Wikipediaによると、次のように書かれてあります。
\(P+λQ\) の(あるいは \(μP+λQ\) の)形をした族の零点集合が記述する “図形” の族のこと。
Wikipedia より
特に P, Q の零点集合が直線であるとき直線束、円であるとき円束という。
…… わかりませんね。
噛み砕くと、束とは「二つの図形が交わるとき、その交点を通るほかの図形たち」のことです。
ここで「図形たち」と表現したのには理由があります。
束の考え方を利用すれば、「直線を求めよ」「円を求めよ」といった問題であらゆる図形に対応できるからです。
もう少しだけ具体的に式の形で表すと次のようになります。
2つの図形 \(f(x,y)=0\) と \(g(x,y)=0\) が交点を持つとき、その交点を通る図形たちは \(sf(x,y)+tg(x,y)=0\) と表すことができる。(ただし、s, tは実数で少なくとも一方は0でない。)
※ 計算上の利便性から、初めから \(s=1\) としても良い。
例題を解いた方がわかりやすいので、早速みていきましょう!
※大学数学の「束論」とは異なります。Wikipediaなどで調べるときは十分注意!
直線束
この問題では、束の考え方を用いなくても労力はそこまで変わりません。
束の考え方の最大の特徴は、交点の座標を求める必要がないということです。
一次の連立方程式を解くだけなら、あまりありがたみは感じられないと思いますが、これはあくまで解答の一例。
別解を何個も身につけると、次の例題2のような問題で強烈な威力を発揮します。
円束
束の考え方を用いずに解こうとすると、2元2次方程式を解く必要があります。
……はい、無理。
いちおう、解き方としては、
P, Qの座標は格子点上にないどころか、無理数で表現しなくてはならない大変な計算になってしまいます。
ああ、とにかくラクしたいっ!!!
そこで、交点の座標を求めずに図形の方程式を求められる「束の考え方」を用いるのです。
これだけです。
結果だけ見ると、2式の差をとるだけでこの問題は解けた、ということになりました。
……ん? この式、さっき見たような……
再掲
2元2次方程式を解こうとした時に、いつの間にかいました。
果たしてたまたまなのか……
それでは、なぜ束の考え方が成立するのかどうかを見ていくことにしましょう。
束の考え方の証明
この章は読み飛ばし可能です。数学大好き!概念大好き!といった人向けの記事です。
補足をすると、\(f(x,y)=0\)のx,yと、\(g(x,y)=0\)のx,yは同じx,yを表します。
具体的にいうと、\(f(3,6)=g(3,6)=0\)のとき、2つの図形は\((3,6)\)で交点を持つはずです。
ここで新たな図形\(h(x,y)=0\)を導入してみます。
実は彼も\((3,6)\)を通る図形、すなわち\(h(3,6)=0\)となる図形だとしましょう。
私たちが問題で解きたかったのは、この\(h(x,y)=0\)のことに違いありません。
ここで頭のいい数学者は考えたのです。
\(h(x,y)\)を、\(f(x,y)\)と\(g(x,y)\)を足したり引いたりして表せないか??
そうした結果、束の考え方に行き着いたわけですね。
コメント