

こんにちは。Daddyです。
今回は、剰余定理というものを扱います。
めっっっちゃ気持ちいい定理の一つなので、ぜひ勉強しましょう。
因数定理とごっちゃになっている人も、この記事を読めばもう二度と迷うことはありません。
それでは早速、Let’s go!
剰余定理とは
剰余定理とは、余りをカンタンに求めることができる定理です。
とはいえ、今回扱うのは、普通のわり算の余りではありません。
次の例題のように、整式を1次式で割ったときの余りを求めるための定理です。
\(2x^3-7x^2+9x-3\) を \(x-1\) で割った余りを求めよ。

普通なら、筆算したり組立除法を使ったりするよね。
剰余定理を理解していれば、次のように解くことができます。(この後解説します)
\(f(x)=2x^3-7x^2+9x-3\) とおく。
剰余定理より、求める余りは \(f(1)\)
\(f(1)=2-7+9-3=\color{red}{1}\)

な、ナニが起こったんだ…

とにかく、計算が超カンタンになんねん。
大まかなイメージが掴めたでしょうか?
それでは、次のセクションで詳しく解説します。
剰余定理の使い方
それでは詳しく解説しましょう。
まず、条件として1次式 \(x-\alpha\) で割る問題でなければ使うことはできません。
先ほどの例題では、\(x-1\) というカタチになっていたので、剰余定理が使えたのですね。
ここで、\(x-\alpha=0\) となる \(x\) の解を考えます。

\(x=\alpha\) に決まってんじゃん。
先ほどの例題で言うなら、\(x-1=0\) の解なので、\(x=1\) ですね。
これを、割られる方の数式に代入します!
先ほどの例題で言うなら、\(2x^3-7x^2+9x-3\) に \(x=1\) を代入して、\(1\) となりました。
これが余りです。

ええと、よくわからなかったんだけど。

つまり、\(x-\alpha\) の \(\alpha\) をそのまま代入すれば余りが求まるんや。
シンプルすぎて、ナニ言ってるか逆にわからなくなっているかもしれません。
もう1問例題を解けばわかるはずです。
\(x^{100}+x^{51}+x^9\) を \(x+1\) で割った余りを求めよ。
まず、\(x+1\) が \(0\) になるような \(x\) を求める。
\(x+1=0\) より \(x=-1\)
これを、\(x^{100}+x^{51}+x^9\) に代入すると、余りが求まる。
\((-1)^{100}+(-1)^{51}+(-1)^9=\color{red}{-1}\)
理由はさておき、余りはこのようにして求められるのです。
それでは次のセクションで、剰余定理を証明していきましょう。
剰余定理の証明

なんか、あっという間に余りが求まるのはわかったけど…

…なんで剰余定理が成り立つのかが気になるんやな。
てなわけで、証明してきます。
とはいえ、いきなり一般的に証明するのは難しいです。
先に例題1で剰余定理が成り立つ理由を説明します。
じっくり読めば、決して難しくないので、頑張ってください。
\(f(x)=2x^3-7x^2+9x-3\) とおく。
\(f(x)\) を \(x-1\) で割ると、
\(f(x)=(x-1)(2x^2-5x+4)+1\)
ここで、\(x-1=0\) となる \(x=1\) を代入すると、
\begin{eqnarray}
f(1)&=&\color{blue}{(1-1)} \color{black}{(2x^2-5x+4)+1}\nonumber\\
&=&\color{blue}{0} \color{black}{\times (2x^2-5x+4)+1 }\nonumber\\
&=&0+1\nonumber\\
&=&1\nonumber\\
\end{eqnarray}
このように、\((x-1)(2x^2-5x+4)\) が \(0\) となって、余りだけが残る。

\((割る式) \times (商) = 0\) になって、余りだけが残るんだね。

その通り。めっちゃ綺麗やろ?
それでは本題。
全ての場合において剰余定理が成り立つことを証明します。
次の証明方法は、剰余定理以外でも、記述でよく使うので覚えておきましょう。
ズバリ、割られる数式を \(P(x)\)、商を \(Q(x)\) とおく方法です。
本当に文字だらけで嫌な気持ちになりますが、最後には0になって消えるのでご安心を。
\(P(x)\) を1次式 \(x- \alpha\) で割ったときの商を \(Q(x)\)、余りを \(r\) とおく。
(\(P(x), Q(x)\) は \(x\) についての整式である)
このとき、\(r=P( \alpha )\) であることを証明すれば良い。
条件より、
\(P(x)=(x- \alpha )Q(x)+r\)
ここで、\(x= \alpha\) を代入すると、
\begin{eqnarray}
P( \alpha ) &=& (\alpha \ – \ \alpha )Q(\alpha )+r\nonumber\\
&=& 0 \times Q(\alpha )+r\nonumber\\
&=&r\nonumber
\end{eqnarray}
よって、\(r=P(\alpha )\) となり、剰余定理は正しい。

見た目は数学っぽくなってるけど、やってることは例題1と全く変わらんやろ?

見えない概念をそのまま考えようとするからいけないんだね。

そう。文系の人でも、具体例を考えれば解決するで。
因数定理との違い

剰余定理って、なんか因数定理に似てない?

せやな。\(x= \alpha\) を代入して〜っていう流れは全く同じ。
それもそのはず。
剰余定理は、ズバリ因数定理を拡張したものとも考えることができるのです。

ど、どういうことだ?
剰余定理で、\(x= \alpha \) を代入した時に、余りが出てきますよね。
いろんな問題を解く中で、たまには『余りが0になる』ものもあります。
『余りが0になる』ということは、こんな式になるということ。
\begin{eqnarray}
P(\alpha )&=&0 \nonumber\\
\iff P(x)&=&(x- \alpha )Q(x)+0\nonumber
\end{eqnarray}
コレって、右の式、因数分解できてますよね?
余りが0っていうのは、因数に \(x- \alpha\) を持つってことに他なりません。
まとめ
いかがだったでしょうか?
剰余定理は、\(x- \alpha \) の \(\alpha\) をぶっ込むだけで余りが出てしまう、魔法のような定理でしたね。
また、因数定理と剰余定理が繋がっているということを、初めて知った人もいるのではないでしょうか?
わたくしDaddyも現役バリバリの高校生なので偉そうなことは言えませんが、高校数学ってこういう定理があるから楽しいし、やめられないんだと思います。
この感動を、少しでも多くの人に共有できるように、細々と活動を続けようと思ってます。
それではっ!
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