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こんにちは。Frontiesta代表のDaddyです。
今回は標本調査について、中学生のみなさんにもわかりやすく扱っていきたいと思います。
みなさんは、アンケートをしたこと、あるいはされたことはありますか?
誰も嘘をつかないという前提で、このアンケートを対象者全員に行っていれば正確だと言えます。
一方で、『中学生100人に聞いてみた!』みたいなアンケートはどれくらい正確だといえるでしょう?
中学生全員に聞いたアンケートとの違いはどのようなものでしょうか?
標本調査は、カンタンにいえば、こういった議論を数学的に考えていくものです。
それでは楽しんでいきましょう!
全数調査とは
まず、標本調査を理解するためには、それとは逆の手法をとる全数調査を理解するのが手っ取り早いです。
全数調査は、1人のこらず全員にアンケートなどをして、調査をすることです。
定義をわかりやすくするために『アンケートなど』と書きましたが、別にアンケートに限った話ではありません。
全数調査に当てはまる例には、次のようなものが挙げられます。
時間やコストをかけてでも、対象者全員(対象となるモノ全て)が調査を受けることに意味がある場合には、全数調査を行います。
例えば、空港の手荷物検査を一部の人にしか行っていなければ大問題ですね。
特に、全数調査の例に国勢調査が当てはまると答えさせる問題は頻出ですので、絶対に覚えておくように。
全数調査について、以下でまとめます。もう一度この記事を見返したときの、時短のための簡潔なまとめです。
全数調査とは、調査の対象となる人(モノ)全てに対して調査を行うこと。
全員に調査を行うことは効率が悪いが、安全の確保や、国や自治体が個人を管理するためなど、必要がある場合に行われる。
標本調査とは
全数調査とは大きく異なる調査方法が標本調査になります。
標本調査は、一部の人やモノだけを選んで、その人やモノに対してだけ調査をすることです。
ここで、少し単語のお勉強。
まず、人やモノをグループにしたものを集団といいます。
『本当は全数調査したいんだけどな…』という、本来調査すべき対象すべてのことを母集団といいます。
『でも標本調査で一部しか調べられなかった…』というときの、実際に調べた一部のことを標本といいます。(英語ではサンプルともいいます。)
標本調査に当てはまる例には、次のようなものが挙げられます。
上記のような例は、全て頻出。
でも難しいことはありません。
全数調査したくてもできない理由がある時に、標本調査をします。
この理由を分類すると、だいたい『全数調査するのが不可能なくらい面倒だから』『全数調査するとモノが使えなくなるから』の2つになるので、それで見分けがつきますね。
ただ、これはあくまで結果論。
この2つを覚えようとするのではなく、問題演習の過程で自然に身につけていくイメージです。
標本調査とは、調査の対象となる人(モノ)の一部に対してだけ調査を行うこと。
調査対象の集団を母集団といい、母集団を調べるための一部を標本(サンプル)という。
標本調査をするのは、全数調査をするのが面倒くさいとき、または全数調査をすると不具合が生じるときである。
標本調査で数を数える
標本調査に関する問題は、『標本調査か全数調査か』を分類させるものが多いです。
標本調査が計算問題で出題されるのは、数を数えたいとき。
例題を見て、どういうことか見てみましょう。
学校の池に泳ぐメダカがたくさんいる。理科の実験でどうしても魚の数を数えなくてはならないが、明らかに100匹を超えており、数えられない。
そこで、池の中のメダカを無作為に30匹抽出してマークをつけ、それをもう一度池に放した。
十分な時間が経過したのち、もう一度メダカを無作為に抽出すると、そのうちマークがついていたのは5匹だった。
このとき、池の中のメダカは何匹だと考えられるか。
少し文章が長かったですね…
たくさんいるメダカの数を数えたいとき、全てを数えることなく、一部にマークをつけてもう一度調査するだけである程度正確な数が得られます。
これは、メダカが常に泳ぎ続けるので、時間が経つとマークがあるものとないものが、偏りなくバラバラになる性質を利用しています。
解答に導くには、比を使うと良いでしょう。
池の中のメダカがX匹であるとする。
X匹のメダカ(=母集団)の中にマークありのメダカは30匹いる。
同様に、30匹のメダカ(=標本)の中にマークありのメダカは5匹いる。
よって、この状況を比で表すと次のようになる。
X:30=30:5
よって、X=180より、池のメダカの数は180匹
上の例題の表記で、『メダカを無作為に抽出する』というフレーズが2度出てきました。無作為に抽出するというのは、母集団から偏りのないように標本を取り出すことです。標本調査では当たり前だけど大切なことです。
乱数さいや乱数表を使ったり、コンピュータを使ったりして、無作為に抽出する方法があります。
標本調査はどれくらい正確か
この内容は完全に高校数学の範囲です。中学生に向けて、難しい公式を日本語でカンタンに説明しますが、究極な話、1mmも理解しなくて構いません。
標本調査の結果は、必ずしも正しいとは言えません。
例えば、不良品の割合を調べる標本調査をするとき、ある標本ではたまたま不良品が全く出なかったり、別の標本ではたくさんの不良品が出たりと、ばらつきが少なからず生まれます。
このとき、何度か標本調査を行うことを考えます。
何パーセントの確率でこの標本調査の結果が一致するか、ということに着目すれば、私たちが本当に知りたいモノである母集団の性質を知ることができます。
今回でいえば、母集団中にどれだけ不良品が含まれるか、ということです。
これが数学における推定という考え方です。
正規分布に従うか?有意水準を何パーセントにするか?など、厳密に考えなくてはならないことはたくさんありますが、今回は割愛。
今回知っておいて欲しいのは、標本調査という単元は、それだけで統計学という新たな学問に発展してしまうほどに、奥が深いということです。
![Daddy](https://frontiesta.com/wp-content/uploads/2023/03/Daddy-e1678523127103.jpeg)
統計大好きなDaddyの悪い癖が出てしもうた…
まとめ
いかがだったでしょうか?
標本調査は学校の授業では軽く扱われがちですが、公立高校入試では近年よく出題されるようになってきており、データの分析では必要な能力です。
中学校で習う範囲は限定的ですが、興味の幅をさらに広げて、統計についてもぜひ調べてみてください。
キーワードは『推定』です。似た言葉に『検定』もありますが、その違いを調べるのも良いでしょう。
それではっ!
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