シグマΣとは?k乗の公式と合わせてわかりやすく解説!【数学】

Daddy
Daddy

こんにちは。現役高校生のDaddyです。

今回のテーマは、シグマです。

\(\Sigma\) ←コイツですね。

『数列』の単元で、いきなり訳のわかんない記号が出てきて悩んでいる高校生も多いのではないでしょうか?

小中学生でもYouTubeで整数問題の動画をよくみている方だったら、たまにシグマを見かけるのではないでしょうか。

プログラミングの問題を解くときに出てきて悩んだという人もいるでしょう。

この記事を読めば、そんなお悩みが全て解決します。

覚える公式があって、ちょっと大変な分野ですが、非常に便利な記号ですので、ぜひ習得しましょう!

それでは、Let’s go!

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プロフィール

Frontiesta代表。大阪出身。
塾が苦手で、鉄緑会を辞めて新たな教育プラットフォームを立ち上げた。
パソコン使用歴は2年くらい。
あだ名は"パパ"や"ダディー"で、生粋のいじられキャラ。

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Σとは何なのか。

シグマとは、『全部足し算する記号』です。

以上っ!!!

Zutti
Zutti

いやいやいやいや待てよ!
何も終わってねえよ!

Daddy
Daddy

何やなんや。
ほとんど説明終わってるって。

『以上っ!!!』は言い過ぎでしたが、でも大事なことはおさえていますよ。

\(\Sigma\) は日本語で『総和記号』とも呼ばれ、全てを足し算するという意味があります。

ちょっと特徴的なのは、足し算するものが数列であるということ。

こんな感じに足し算できます。

1. \(1+2+3+4+5+6+7\)

2. \(1^2+2^2+3^2+4^2+ \cdots +100^2\)

3. \(2+4+6+8+ \cdots +2n\)

4. \(\dfrac{1}{1 \times 2} + \dfrac{1}{2 \times 3} + \dfrac{1}{3 \times 4} + \cdots +\dfrac{1}{30 \times 31}\)

(見切れている数式は横スクロールできます)

1つ目は、1から7までを順に足しています。

2つ目は、1の2乗から100の2乗までを順に足しています。

3つ目は、偶数をn番目まで順に足しています。

4つ目は、規則的な分数を順番に足しています。

Zutti
Zutti

でもさー、こういう長い式を書くの、だるくない?

Daddy
Daddy

確かに。『\(\cdots\)』で省略してる式もあるしな

ということで、シグマを使うと、こんなに短く書くことができます。

まだ表記法は教えていないですが、イメージだけ掴んでくださいね。

1. \(\displaystyle \sum_{k=1}^7 k\)

2. \(\displaystyle \sum_{k=1}^{100} k^2\)

3. \(\displaystyle \sum_{k=1}^n 2k\)

4. \(\displaystyle \sum_{k=1}^{30} \dfrac{1}{k(k+1)}\)

Zutti
Zutti

なんか…スカスカだねww

Daddy
Daddy

それだけ書く量が減ったってことやな

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Σの表記法とは?

さて、Σは全てを足し算する記号だと学びました。

今度は具体的な書き表し方を学びます。

プログラミングを学んでいる方は、for文と同じだと思っていただいて結構です。

まず、数列を用意しましょう。

\(1^2+2^2+3^2+4^2+ \cdots +100^2\) を扱ってみましょう。

まずは、規則性を見つけます。

\(\Box ^2\) のカタチになっていて、\(\Box\) の中身が1から100まで順番に増えていることがわかります。

シグマを使うときは、\(\Box\) ではなく \(k\) を使うのが普通です。

そのため、以降は \(k^2\) と表します。

それでは、Σを使います。

\(\displaystyle \sum k^2\)

でも、これだけじゃ足りません。

どこをスタートに、どこをゴールに足し算するのかが書かれていません。

今回、kのスタートは1、kのゴールは100です。

\(1^2+2^2+3^2+ \cdots +100^2\) のように、1から100まで順番に増えているからですね。

スタートはΣの下、ゴールはΣの上に書きます。

\(\displaystyle \sum_{k=1}^{100} k^2\)

注意なのは、スタートの書き方。

『これからkって文字を使いますよ〜』という宣言の意味を込めて \(k=1\) と書くようにしてください。

Zutti
Zutti

なんでkって文字を使うの?

Daddy
Daddy

何となく慣習になってるだけやな。ただ、『1からnまで順番に』みたいな計算をするときは、kかiを使ってるイメージ。\(i,j,k\)はよく使う。

逆にゴールでは \(k=100\) と書く必要はありません。

Daddy
Daddy

これで完成やな。

Zutti
Zutti

書く方はできるようになったね。今度は解読してみたいな。

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実践編!Σの読み方

例題

次の式を、Σを使わない和の表記に改めよ。一般項は求めなくて良い。

\(\displaystyle \sum_{k=1}^n 2k\)

まずは簡単な例から。

先ほど説明し忘れてしまったのですが、Σに含まれる文字\(k\)は、必ず1ずつ増えるということを覚えておいてください。

これを踏まえて、解読していきましょう。

まずは、スタートの \(k=1\)を代入しましょう。

\(k=1 のとき、2k=2 \times 1\)

そして、\(k\) の値を1ずつ増やしていきます。

\(\displaystyle \sum_{\color{red}{k=1}}^n 2k = (2\times1)+\displaystyle \sum_{\color{red}{k=2}}^n 2k\)

Zutti
Zutti

まだちょっとわからない…

おっしゃる通りで、まだこれをみてもわからないと思います。

今からまとめて式を書くので、その規則を見抜いてください。

\begin{eqnarray}
&\quad&\displaystyle \sum_{\color{red}{k=1}}^n 2k \nonumber\\
&=& (2 \times1)+\displaystyle \sum_{\color{red}{k=2}}^n 2k\nonumber\\
&=& (2\times1) + (2\times2)+\displaystyle \sum_{\color{red}{k=3}}^n 2k\nonumber\\
&=& (2\times1) + (2\times2) + (2\times3)+\displaystyle \sum_{\color{red}{k=4}}^n 2k\nonumber\\
&\cdots&\nonumber\\
&=& (2\times1) + (2\times2) + (2\times3) + \cdots + 2\times (n-1) +\displaystyle \sum_{\color{red}{k=n}}^n 2k\nonumber\\
&=& (2\times1) + (2\times2) + (2\times3) + \cdots + 2(n-1)+2n\nonumber\\
\end{eqnarray}

(上の式はスクロール可能)

スタートが1、ゴールがnになるように、\(2k\) を足し算できていれば正解です。

今回のΣのゴールが具体的な数ではなく、\(n\) だったというのが少し難しかったかもしれません。

しかし、結果を見てみてください。

1番目からn番目までの偶数の合計であることがわかります!

よって、答えは \(2+4+6+\cdots+2n\) です。

Σは慣れれば大変読みやすい表記なので、問題演習を重ねてくださいね。

ここからは発展編。難しければ次のセクションに飛んでも構いません。

次のセクションで扱う公式がとても大事なので、絶対に離脱しないでください。

例題2

次の式を、Σを使わない和の表記に改めよ。一般項は求めなくて良い。

\(\displaystyle \sum_{i=1}^{n-1} (3ni \cdot 2^i)\)

Zutti
Zutti

ちょちょちょ、難しすぎる!

Daddy
Daddy

逆に、これが解読できたら怖いもの無し。

順に解説していきます。

やや難しいので、朗読をするようにゆっくりじっくり読んでください。

解説
  • Step1
    変化する文字を確認する。

    \(\displaystyle \sum_{\color{red}{i=1}}^{n-1} (3ni \cdot 2^i)\) の赤いところに着目。今回変化するのは \(i\) です。nはひっかけで、何も変化しません

  • Step 2
    変化する範囲を調べる

    \(\displaystyle \sum_{\color{red}{i=1}}^{\color{red}{n-1}} (3ni \cdot 2^i)\) より、\(i\) は \(1,2,3, \cdots ,n-2, n-1\) と順番に増えていきます。

    スタートが1、ゴールがn-1です。

  • Step 3
    順番に代入していく

    スタート、ゴールに注意しながら \(i\) を書き換え、足していきましょう。

    \((3n\cdot1\cdot 2^1) + (3n\cdot2\cdot 2^2) + (3n\cdot3\cdot 2^3)+ \cdots + \{3n\cdot(n-2)\cdot 2^{n-2} \}+ \{3n\cdot(n-1)\cdot 2^{n-1}\}\)

    (上の式はスクロール可能)

  • Step 4
    因数分解する

    知らない人も多いのですが、Σの答えは因数分解するのが一般的。そちらの方が美しいとされています(なんで?)3nでくくりましょう。

    \(3n\{1\cdot 2^1+2\cdot 2^2+3\cdot 2^3+ \cdots +(n-1)2^{n-1}\}\)

    (上の式はスクロール可能)

これで答えがもとまりました。

ちょっとずつ解読方法がわかってきましたか?

要するに、1つずつ代入して1増やす、という操作を繰り返すだけです。

Zutti
Zutti

でもさー、なんか求まった答えがスッキリしないよね。シンプルな答えは求められないのかな?

Daddy
Daddy

次はΣの公式を勉強しようか。

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3つのΣの公式

最後に、Σの公式を伝授いたします。

ここで悲報。

覚えるしかありません

もう一度言います。

覚えるしかありません。

一応、公式の導出も載せておきますが、複雑でかつ頻出なので、毎回導出している暇がないのです。

最終的には必ず覚えるようにしてください。

Daddy
Daddy

公式は3つだけやから、頑張れ!

\(1+2+3+\cdots+n\)の公式$$\displaystyle \sum_{k=1}^n k = \dfrac{1}{2}n(n+1)$$

\(1^2+2^2+3^2+\cdots+n^2\)の公式$$\displaystyle \sum_{k=1}^n k^2 = \dfrac{1}{6}n(n+1)(2n+1)$$

\(1^3+2^3+3^3+\cdots+n^3\)の公式$$\displaystyle \sum_{k=1}^n k^3 = \left\{\dfrac{1}{2}n(n+1)\right\}^2$$

\(1+2+3+\cdots+n\)の公式

まずは1つ目。

コイツだけは例外で、その場で考えることができます。

ズバリ、等差数列の和の公式。

\begin{array}{r}
\hspace{ 12pt }1\hspace{ 13pt }+\hspace{ 13pt }2\hspace{ 13pt }+\hspace{ 13pt }3\hspace{ 13pt }+\cdots+(n-2)+(n-1)+\hspace{ 13pt }n\hspace{ 13pt } \\[-3pt]
\underline{ + ) \phantom{0}\hspace{ 12pt }n\hspace{ 13pt }+(n-1)+(n-2)+\cdots+\hspace{ 13pt }3\hspace{ 13pt }+\hspace{ 13pt }2\hspace{ 14pt }+\hspace{ 13pt }1\hspace{ 13pt }}\\[-3pt]
\underbrace{(n+1)+(n+1)+(n+1)+\cdots+(n+1)+(n+1)+(n+1)}_{n個}
\end{array}

(上の筆算はスクロール可能)

\(1+2+3+\cdots+n\) を、順番を変えて縦に足し算します。

すると、\((n+1)\) が \(n\) 個できるので、合計は \(n(n+1)\)。

…ではなく、\(1+2+3+\cdots+n\)を2つ合計しているので最後に半分で割って、\(\dfrac{1}{2}n(n+1)\) です。

Σを使って表すと、次のようになりますね。

\(1+2+3+\cdots+n\)の公式$$\displaystyle \sum_{k=1}^n k = \dfrac{1}{2}n(n+1)$$

\(1^2+2^2+3^2+\cdots+n^2\)の公式

個人的に、これが1番覚えにくい公式です。

でも覚えてください。

一応、証明です。

Σの計算では、経験的に \(\Box ^n – (\Box -1)^n\) のカタチを作り出すとうまくいくことが多い。ということを念頭に、工夫して求めていく。

\(k^3-(k-1)^3 \ (k=1,2,3,\cdots,n)\) の和を2パターンで表現することを考える。

  • 普通に全部足す
  • Σで表す

\begin{eqnarray}
1^3-\hspace{13pt}\bcancel{0^3}\hspace{13pt}=\hspace{8pt}1^3\hspace{10pt}-\hspace{16pt}0^3\hspace{16pt}\nonumber\\[-3pt]
\bcancel{2^3}-\hspace{13pt}\bcancel{1^3}\hspace{13pt}=\hspace{8pt}2^3\hspace{10pt}-\hspace{16pt}1^3\hspace{16pt}\nonumber\\[-3pt]
\bcancel{3^3}-\hspace{13pt}\bcancel{2^3}\hspace{13pt}=\hspace{8pt}3^3\hspace{10pt}-\hspace{16pt}2^3\hspace{16pt}\nonumber\\[-3pt]
\vdots\hspace{40pt} = \hspace{40pt}\vdots\hspace{38pt}\nonumber\\[-3pt]
n^3-\bcancel{(n-1)^3} = \hspace{8pt}n^3\hspace{8pt}-\hspace{7pt}(n-1)^3\nonumber\\[-3pt]
\overline{n^3-\hspace{16pt}0^3\hspace{15pt}= \sum_{k=1}^n \{k^3-(k-1)^3\}}\nonumber\\[-3pt]
\end{eqnarray}

ここで、

\begin{eqnarray}
&\quad&\sum_{k=1}^n \{k^3-(k-1)^3\}\nonumber\\
&=&\sum_{k=1}^n (3k^2-3k+1)\nonumber\\
&=&3 \sum_{k=1}^n k^2 -3\sum_{k=1}^n k+\sum_{k=1}^n1\nonumber\\
&=&3 \sum_{k=1}^n k^2 -\dfrac{3}{2}n(n+1) +n \nonumber\\
\end{eqnarray}

\(\therefore n^3 = 3 \displaystyle \sum_{k=1}^n k^2 -\dfrac{3}{2}n(n+1) +n\)

これを \(\displaystyle \sum_{k=1}^n k^2\) について解くと、
$$\displaystyle \sum_{k=1}^n k^2 = \dfrac{1}{6}n(n+1)(2n+1)$$

上の証明から、次の公式が言えます。

\(1^2+2^2+3^2+\cdots+n^2\)の公式$$\displaystyle \sum_{k=1}^n k^2 = \dfrac{1}{6}n(n+1)(2n+1)$$

\(1^3+2^3+3^3+\cdots+n^3\)の公式

これはまだ覚えやすい部類です。

\(1+2+3+\cdots+n\)の公式を2乗しただけなので。

証明は超超超大変なので、割愛させていただきます。

やり方は、\(\displaystyle \sum_{k=1}^n k^2\) のときと全く同じです。

\(k^4-(k-1)^4\) を2パターンで足し合わせることでできるはず。

Daddy
Daddy

この記事書くの、だいたい6時間くらい。その大半は筆算をMathJaxで表記するので浪費してんねん…

Zutti
Zutti

え…Daddyって今年で高3になる予定だよね…受験勉強できてる???

Daddy
Daddy

してるわけないやん。ということで、この公式の証明は勘弁してください!

\(1^3+2^3+3^3+\cdots+n^3\)の公式$$\displaystyle \sum_{k=1}^n k^3 = \left\{\dfrac{1}{2}n(n+1)\right\}^2$$

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最後に

いかがだったでしょうか?

Σそのものは、決して難しい概念ではありません。

公式さえ覚えてしまえば、いずれ無双できることでしょう。

特に、理系数学『数学Ⅲ』の分野では、数列とは一見異なる分野である『積分法』で大活躍します。

それまでに、Σの計算が完璧にできるよう、何度も復習してくださいね。

それではっ!

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