こんにちは。フロンティエスタ代表のDaddyです。
今回は『場合の数』という単元を扱います。
学習指導要領によれば、\(\mathrm{P, C}\) といった表記は『数学A』という高校数学で学ぶことだそうですが、決して難しい内容ではありません。
この内容は、たとえ小学生でも、難関中高一貫校を受験するような子であれば、必ず知っておかなくてはならない超超超キホン事項です。
もし保護者様がこの記事を読んでおられましたら、『これ知ってる?』と聞いてみてください。
それでは、Let’s go!
これ以降、かなりくどく丁寧に解説していきます。計算方法だけ知りたいよ!という方は、下の目次から『まとめ』に飛んでください。
小学生にはまだ仕組みを理解するのが難しいと思うので、保護者の方が解説される際は、まとめから教えていただきますようお願いします。
プロフィール
Frontiesta代表。大阪出身。
塾が苦手で、鉄緑会を辞めて新たな教育プラットフォームを立ち上げた。
パソコン使用歴は2年くらい。
あだ名は"パパ"や"ダディー"で、生粋のいじられキャラ。
順列P
まず、順列という言葉を確認しましょう。
順列は、たくさんの種類のものが1つずつあるとき、何個かを取ったあとの並べ方のことを言います。
小学生は『ならべ方』と習うはずです。
さっそく、例題を解いていきます。
例題1
春乃さん、夏海さん、秋紀さん、冬音さんの4人が記念に写真撮影することを考えている。1人はカメラで写真を撮るので、写ることができない。4人のうちの3人が横一列で撮影されるとき、並び方は何通りか。
問題作成上、1人がはぶられてしまっていますが、あまり気にしないこと。
さて、この例題1は、4種類の人間が1人ずついるとき、3人を取った後の並べ方を求める問題です。
(人を軽んじたような冷たい表現ですが、あくまでわかりやすく説明するための表現です)
解法1
Step1
一番左に並ぶ人を考える
春乃さん、夏海さん、秋紀さん、冬音さんの誰でも良いから、1人を並べてしまえば良い。よって、4通り。
Step2
真ん中に並ぶ人を考える
一番左に並ぶ人を1人決めてしまったので、残っているのは3人。この3人の中なら誰を並べても良いので、3通り。
Step3
一番右に並ぶ人を考える
Step1、Step2で2人並んでしまったので、残っているのは2人。この2人のどちらが並んでも良いので、2通り。
Step4
カメラマンを考える
余ってしまった人がカメラマンをやれば良いから、無視できる。強いていうなら1通り。(なんかかわいそう)
よって、全てをかけ算して \(4 \times 3 \times 2 (\times 1) = \color{red}{24通り}\)
順列の問題は、かけ算する数が1ずつ減っていくというような規則があります。
せっかく規則があるのに、毎回毎回あらたに式を立てるの、大変ですよね。
そこで、\(\mathrm{P}\) という文字をあらたに使って良いことにします。
具体例は、下の通りです。
- \({}_8 \mathrm{P}_4 = \overbrace{8 \times 7 \times 6 \times 5}^{4個}\)
- \({}_{100} \mathrm{P}_2 = \overbrace{100 \times 99}^{2個}\)
- \({}_5 \mathrm{P}_5 = \overbrace{5 \times 4 \times 3 \times 2 \times 1}^{5個}\)
日本語で下のようにまとめました。
上の具体例だけで理解できていれば、読み飛ばして構いません。
順列P
順列 \({}_n \mathrm{P} _r\) は、順列の計算をする記号である。
\(n\) 個ある内の \(r\) 個を取って並べたときの、並べ方を表す。
\({}_n \mathrm{P} _r = \overbrace{n \times (n-1) \times (n-2) \times \cdots}^{r個}\)
例えば、上の例題のように、4人のうちの3人を並べる、という意味なら \({}_4 \mathrm{P}_3\) のように左下と右下に書く。
この計算では、1ずつ減らした数をかけ算しているのが特徴である。
ということで、\(\mathrm{P}\) を使った別解をどうぞ。
解法2
$${}_4 \mathrm{P} _3 = \color{red}{24通り}$$
まだ理解がおぼつかないと思うので、最後に類題を用意しています。
ひとまず、先に進みましょうか。
組合せC
次に、組合せという言葉を確認します。
組合せは、たくさんの種類のものが1つずつあるとき、何個かを取る組み合わせ方のことを言います。
小学生も同様に『くみあわせ』と習うはずです。(漢字表記かどうかは学年によります)
数学においては、名詞としては『組合せ』のように送りがなを省略するのが一般的です。
動詞としては『組み合わせる』のように省略しません。
それでは例題をどうぞ。
例題2
好きな子が8人いる。
全ての子とデートしたいが、この土日祝日でデートできるのは現実的に2人までである。
デートできる子2人の組合せは何通りか。
ただし、このデートは申し込めば必ず成立できるものとする。
シチュエーションがやや過激ですが、あくまで理解しやすくするための工夫ですので、誤解なさらないように。
さて、ここで注意しなければならないことがあります。
それは、この問題で問われているのは順列ではないということ。
つまり、デートする順番は関係ないということです。
例えば、AさんとBさんにデートを申し込むのと、BさんとAさんにデートを申し込むのは、順番が違うだけで、全く同じことを言っています。
ところが、順列で数えてしまうとこれが別物扱いになってしまうのです。
とにかく2人だけ選べば良い。
樹形図をかけば解決するところはありますが、これをなんとか数式に持っていきたいです。
樹形図のかき方を忘れた人はコチラ。
忠告しておきますが、この解説は難しいので、今すぐに理解する必要はありません。
まとめを読んでから、もう一度見返すように。
解答
Step1
ひとまず順列で考えてみる
好きな子8人のうち、2人をデートに行く順に並べるとする。先ほど勉強した \(\mathrm{P}\) の考え方から、$${}_8 \mathrm{P}_2 = 8 \times 7 = 56$$よって、56通りの並べ方がある。
Step2
並べ方そのものを考える
ところが、これは実際に求めたい答えではない。1人目と2人目は、入れ替えても構わない。つまり、1つの組合せあたりで、2回分数えてしまっているということだ。
数式で表すなら、1つの組合せを \({}_2 \mathrm{P} _2 = 2\) 通りの並べ方で数えてしまっているということ。
Step3
多く数えていた分を減らす
1つの組み合わせにつき、\({}_2 \mathrm{P} _2\) 回分数えていたので、割る必要がある。$$\dfrac{{}_8 \mathrm{P}_2}{{}_2 \mathrm{P} _2} = \dfrac{56}{2} = 28$$よって、28通り。
…ご苦労様でした。
組合せって、根本から理解しようとすると、結構難しいんですよね。
もちろん仕組みを理解することは大切ですが、理解した上でこの思考を省略することも大切です。
組合せの特徴は、『\(\mathrm{P}\) を \(\mathrm{P}\) で割っている』ということ。
ということで、分数で表現するのもめんどくさいので、あらたに \(\mathrm{C}\) を使って良いことにしましょう。
\(\mathrm{C}\) の使い方の具体例はこんな感じ。
- \({}_8 \mathrm{C}_4 =\dfrac{{}_8 \mathrm{P} _4}{{}_4 \mathrm{P} _4} = \dfrac{\overbrace{8 \times 7 \times 6 \times 5}^{4個}}{4 \times 3 \times 2 \times 1}\)
- \({}_{100} \mathrm{C}_2 = \dfrac{{}_{100} \mathrm{P} _2}{{}_2 \mathrm{P} _2} = \dfrac{\overbrace{100 \times 99}^{2個}}{2 \times 1}\)
- \({}_5 \mathrm{C}_5 = \dfrac{{}_5 \mathrm{P} _5}{{}_5 \mathrm{P} _5} = \dfrac{\overbrace{5 \times 4 \times 3 \times 2 \times 1}^{5個}}{5 \times 4 \times 3 \times 2 \times 1}\)
以下は、日本語による説明です。
組合せC
組合せ \({}_n \mathrm{C} _r\) は、組合せの計算をする記号である。
\(n\) 個ある内の \(r\) 個をとるときの、組合せを表す。
\begin{eqnarray}
& \quad & {}_n \mathrm{C} _r \nonumber\\
&=& \dfrac{{}_n \mathrm{P} _r}{{}_r \mathrm{P} _r} \nonumber\\
&=& \dfrac{\overbrace{n \times (n-1) \times (n-2) \times \cdots}^{r個}}{n \times (n-1) \times (n-2) \times \cdots} \nonumber\\
\end{eqnarray}
例えば、上の例題のように、4人のうちの3人を並べる、という意味なら \({}_4 \mathrm{C}_3\) のように左下と右下に書く。
この計算では、分母も分子も1ずつ減らした数をかけ算しているのが特徴である。
重複組合せH(発展)
組合せの問題って、実は奥が深いものです。
今回勉強した組合せは、たくさんの種類のものが1つずつあるとき、何個かを取る組合せ方のことでした。
しかし、次のような場面ではどうでしょうか?
例題3
りんご、みかん、いちご、バナナがたくさんある。この4種類のくだものの中から6つ選びたい。このとき、くだものの選び方は何通りか。ただし、選ばないくだものがあっても良い。
例)りんご3つ、いちご2つ、バナナ1つ
これに対しては \(\mathrm{C}\) を使うことができません。
代わりに、\(\mathrm{H}\) を使うことになっています。
学習指導要領の範囲外ですから、この記事では扱いませんが、ぜひ考えてみてください。
下のリンク先の記事では、この問題を解説しています。
まとめ
いかがだったでしょうか?
概念としてはやや難しいものですが、計算自体は決してむずかしいものではありません。
最後に問題演習をしてこの記事を終わりにしましょう!
類題
次の各問に答えよ。
(1) トランプが4枚ある。全てエースで、ハート、スペード、クラブ、ダイヤが1枚ずつある。これらを全て並べるときの並べ方は何通りか。
(2) 10人の中から委員長と副委員長、書記を1人ずつ選出することになった。この組合せは何通りか。
(3) イヌが5匹いる。我が家では2匹だけ飼いたいと考えている。選び方は何通りか。
(4) 白は200種類あるらしいので、その候補をロボットに調べさせると、白っぽい色が203種類挙げられた。このうち200種類だけ選ぶものとすると、組合せは何通りか。
解答
(1) フツウの順列の問題である。
\({}_4 \mathrm{P} _4 = 4 \times 3 \times 2 \times 1 = 24\)
よって、24通り
(2) 間違えやすいが、これは順列の問題である。
10人のうち3人を並べて、左から順に委員長、副委員長、書記とすればよいからである。
\({}_{10} \mathrm{P} _3 = 10 \times 9 \times 8 =720\)
よって、720通り
(3) フツウの組合せの問題である。選び方も同じこと。
\({}_5 \mathrm{C} _2 = \dfrac{5 \times 4}{2 \times 1} =10\)
よって、10通り
(4) 難しい組合せの問題である。
実際に \({}_{203} \mathrm{C} _{200}\) を計算しようとすると、かなり大変である。というか無理である。
そこで、203種類の白っぽい色から、白に認定されなかった3種類だけを選ぶことを考えれば良い。
よく考えれば、3種類だけ選ぶのも200種類選ぶのも同じことである。
\begin{eqnarray}
& \quad & {}_{203} \mathrm{C} _{200}\nonumber\\
&=& {}_{203} \mathrm{C} _{3}\nonumber\\
&=& \dfrac{203 \times 202 \times 201}{3 \times 2 \times 1}\nonumber\\
&=& 1,373,701 \nonumber\\
\end{eqnarray}
よって、1,373,701通り
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