こんにちは。
Frontiesta代表のDaddyです。
今回は、期待値というものを扱います。
皆さんは宝くじを買ったことがありますか?
ひょっとしたら億万長者になれるかも?と夢がふくらんで、楽しいですよね。
でも、宝くじを運営している地方公共団体は、なぜ損をすることがないのでしょうか?
このギモンを解消するのが、数学の期待値という考え方です。
それでは早速、Let’s go!
期待値とは
期待値は、Wikipediaでは次のように説明されています。
確率論における期待値(きたいち、英: expected value)は確率変数を含む関数の実現値に確率の重みをつけた加重平均である[1]。確率分布に対して定義する場合は「平均」と呼ばれることが多い。
Wikipedia より
……ちょっと難しすぎて何いってるかわかりませんね。
期待値は、数学における概念のようなものなので、具体例を使って説明されるべきものです。
次のような場面について考えてみましょう。
宝くじが無性に買いたいっ!
もしかしたら当たるかも知らんから、夢ある話やね
でも、絶対に損したくないっ!
言っとくけどな、宝くじを運営してる地方自治体が絶対に儲かんねんで。
早速夢のないこと言いやがって。
なんでそう言い切れんのさ?
甘いな。
宝くじは当たることもあれば外すこともある。
くじを1口買ったとき、平均して何円手に入ると思う?
え?そんなの計算できるの?
上のように、くじ1口で得られる賞金の平均額を知りたいですよね。
数学の力を持ってすれば、簡単に求められます。
ほとんどの場合、賞金は0円で、ちょっと運がいいと数万円、めっちゃ運がいいと2億円とかが当たります。
このように『運』と表現されるものは、数学では『確率』として表されます。
確率と賞金額によって計算される、賞金の平均額のことを期待値と呼ぶのです。
期待値の求め方
それではお待ちかね、期待値の計算といきましょう。
次の例題を考えます。
『日本では賭け事が禁止されているのでダメ』『気合いで6の目を出し続けられるのでOK』みたいなことは一旦無視します。
『数学的に答えよ』と問題文中にあるのでね。
それでは、期待値の計算方法を一緒に勉強していきましょう。
- Step1確率を表で考える
それぞれの目が出る確率を、下のように表にまとめる。
出る目 \(1\) \(2\) \(3\) \(4\) \(5\) \(6\) 合計 確率 \(\dfrac{1}{6}\) \(\dfrac{1}{6}\) \(\dfrac{1}{6}\) \(\dfrac{1}{6}\) \(\dfrac{1}{6}\) \(\dfrac{1}{6}\) \(1\) 今回の場合、すべての目において出る確率が \(\dfrac{1}{6}\) で全て等しい。
- Step2出た目×確率
表の縦をかけ算する。$$1 \times \dfrac{1}{6} = \dfrac{1}{6}$$$$2 \times \dfrac{1}{6} = \dfrac{2}{6}$$$$3 \times \dfrac{1}{6} = \dfrac{3}{6}$$$$4 \times \dfrac{1}{6} = \dfrac{4}{6}$$$$5 \times \dfrac{1}{6} = \dfrac{5}{6}$$$$6 \times \dfrac{1}{6} = \dfrac{6}{6}$$
- Step3全部足す
$$\dfrac{1}{6} + \dfrac{2}{6} + \dfrac{3}{6} + \dfrac{4}{6} + \dfrac{5}{6} + \dfrac{6}{6} = \dfrac{21}{6}$$
これが、サイコロを1回振ったときの目の平均。
だいたい3.5になるのは感覚的にもわかる。 - Step4期待値を求める
サイコロの目×100円がもらえるお金なので、$$\dfrac{21}{6} \times 100 = 350$$
よって、期待値は350円である。
参加費用は300円だから、平均すると1回あたり \(350-300=50\)円だけ得する。したがって、参加すべき。
計算方法はだいたいわかりましたか?
\((確率)×(出た目)\) をそれぞれで計算して、まとめて足します。
あとは条件に合わせて微調整しながら、期待値を求めていきましょう。
本当は、確率変数や確率分布などといった難しいワードや、\(E(X)\) といった表記、期待値の変換などを扱うべきなのですが、ここでは扱いません。
確率・統計分野は、難しいワードや文字が出てきた瞬間にニガテ意識が生まれてしまいます。
この記事でキホン的なことを理解した上で、他サイトや教科書を読み込んでみると、理解度がグンと上がるはずです。
オマケ:大数の法則
よく考えたらさ、期待値っておかしくない?
宝くじの期待値を計算したら、なんか変なんだもん。
どしたん。
何も変なことあらへんて。
1口300円の宝くじの期待値が150円になったんだ。
でも必ずしもそうとは限らなくない?
それは、宝くじを売る側にとって期待値に意味があるから。
『大数の法則』っていうものを理解したらすぐに理解できるはずや。
大数の法則を超カンタンに説明します。
大数の法則とは、たくさん同じことを繰り返せば、確率の振れ幅が小さくなる、というもの。
宝くじを開催しても、100口しか買ってくれなかったら、当たったり当たらなかったりで払うべき賞金額が毎回大きく変わってしまいます。
膨大な量の宝くじを買ってくれたら、当選したくじの数が多少変動しようとも、賞金額が毎回大きくは変わらないのです。
もはや誤差っていうわけ。
そのため、期待値っていうのは、宝くじをたくさん売る側からしてみれば、どれだけの利益が出るのかを予測するのに有益なのです。
一方で、どれだけ多くてもたかだか数十口しか宝くじを買わない私たちにとっては、大数の法則が使えず、期待値にそんなに意味がないのです。
宝くじって、買ってくれる人がたくさんいるから成り立つ事業なんだね。
まとめ
いかがだったでしょうか?
期待値は、特にカジノのプロなどが活用する考え方ですが、実は身近なところでも使われているものです。
利益を上げるために、こうした数学が役に立っているのですね。
確率・統計に興味を持ってもらえるきっかけになれば幸いです。
それではっ!
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